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ピアノレッスンから音楽療法へ

最近、体調が不安定で、気持ちが落ち着かず、

レッスン中は、そわそわ、集中が続きにくい男の子のピアノレッスン。

 

レッスン中、テキストがたまたま、鍵盤の上に落ち、「ジャーン!」という音が鳴りました。

すると、「面白い!!」と手のひらや肘をつかってピアノを鳴らし始めました。

「これかっ!これを彼は求めていたんだ!」私は、同じようにピアノを激しく鳴らし返しました。

 

ちょうど先日、音楽療法のセッションを見学させていただいたところでした。

セッションに一緒に入らせてもらって、音を共有して気持ちを吐き出す経験をしたばかりだったので、その感覚が残っていました。

彼にもこの感覚を感じてほしい。ピアノレッスンから、音楽療法に切り替えました。

 

隣で弾く男の子は、顔が真っ赤になり、目にはうっすら涙。

「あ~面白い!!こんなにピアノが面白いなんて!」と大興奮。

時計を見ると20分が経っていました。

そばでピアノを聞いて下さっていたお母さま。

「この子の魂の叫びみたいなものが聞こえてきました」

 

言葉にできない想いを、ピアノを鳴らすことで、気持ちを吐き出し、整理し、次のステップへつなげていく。すべて、本人が自分から作りだしていきました。

 

私は同伴者です。横に座って一緒にピアノを弾いて見守り、安全な場所を作りだし、彼を解放し、想いを受け止める。そして、気づかせる。「大丈夫だよ。自分の力を信じて。」念じながら音を奏でました。

 

音楽教育と音楽療法の違いを大きく感じ、音楽の力の偉大さを実感した時間でした。